2022年10月頃・火災保険料見直し・値上げ
2022年10月頃、大手損保会社各社は火災保険料率改定を予定している。
改定されると2019年・2021年に続き近年3回目の改定で、将来的には所在地の水災リスクに応じて保険料も細分化される可能性も議論されているので地域によっては水災保険料の上昇の可能性もある。
参考純率が過去最大の引き上げ幅になる可能性・大
火災保険料率の海底の背景にあるのは損保会社が料率を決定する際の参考値とする参考純率と言われる数値の改定です。風水害の頻発や老朽化した住宅の増加に伴い損保会社が支払う保険金も増加したことへの対応として改定が頻繁に行われている。2019年の風水害の支払い実績が反映された2021年は過去最大の引き上げ率となりました。しかしながらこれは全国平均数値であることから、次の表の都市や建築構造によって改定率は異なりますので場合によっては引き下げになる場合もあります。
契約者が実際に負担する保険料は参考純率の数値を踏まえ損保会社各社が決めますが多くの契約で保険料は上がると見られています。
参考純率:2021年届出改定率の例(損害保険料改定率算出機構抜粋)
築5年未満の例 | マンション(M構造) | 木造(H構造) | |||
都道府県 | 改定率 | 都道府県 | 改定率 | ||
三大都市圏 | 東京都 | +1.7% | 東京都 | +3.3% | |
愛知県 | +4.5% | 愛知県 | +3.8% | ||
大阪府 | +15.3% | 大阪府 | +24.6% | ||
最大 | 宮崎県 | +30.5% | 大阪府 | +24.6% | |
最小 | 山形県 | -4.7%% | 山口県 | -13.8% |
今回の改定では現行最大10年の火災保険期間が5年に短縮され、これまで享受できた長期契約の割引額も縮小されることなるだろう。火災保険料率の改定・保険料の上昇が続く一方、この10年の火災保険収支は赤字が常態化している。各社の巨大災害に備える異常危険準備金の残高は軒並み減少傾向となり最保険料コストも上昇していて損保会社は困難な状況に立たされています。
こうした状況を今後改善されるか?というと現在は見通しが立っていない厳しい状況なのが現状である。近年は日本のみならず世界各地で異常気象や風水害が起きており10年に1度、50年に1度と言われていた災害が当たり前になってきているのだ。ICPP(国連政府パネル)が気候変動は「拡大・加速・深刻化している」と述べたことは御存知の通りです。
水災部分の参考純率に地域格差も
更に火災保険料の水災部分の保険料が立地やエリアのリスクに応じ将来的に細分化される可能性も出てきており、前途のとおり参考純率は都道府県や建物構造により異なるが再々部分の料率については都道府県による差はなく現在は全国一律である。これを今後は保険料負担の公平性の観点から見直すべきか?すなわち立地の水害リスクに応じ保険料に反映させるべきかが損保業界での課題とされています。
リスクや補償により保険料が設定されることは保険の理にかなっていると思われるが、保険は加入者同士でリスク分担する仕組みでもあります。災害保険はリスクに応じた保険料較差を設ければ加入できない人を増やすかもしれないので適切では無いのではないか?との懸念もあり「火災保険水災料率に関する有識者懇談会」ではこの点が議論されています。
懇談会資料には水災の付帯をやめた世帯が増加しているとの報告で2019年の付帯率は約68%と2013年より約10%近く減少し、かつ床上浸水のリスクがあるにもかかわらず、ハザードマップ上の浸水3m未満の木造住宅においては付帯をやめる世帯に増加傾向がみられる。
しかし浸水深が浅かったとしても、一度水に浸かれば被害は避けられず、浸水後の原状回復は容易では有りません。過去10年間の水害による浸水棟数は内水氾濫によるものが約70%を占めており、河川から離れていても浸水被害の危険性は拭えません。
居住地の災害リスクを判断する材料となる1つが「ハザードマップ」である。これは随時更新されるため常に最新版のチェックを怠らないように気をつけてほしい。
ハザードマップ整備状況
(公表済みの自治体 内閣府防災「令和3年版防災白書」付属資料より抜粋作成)
洪水ハザードマップ | 約98% | ||||||||
想定最大規模降雨に対応した洪水ハザードマップ | 約59% | ||||||||
内水ハザードマップ | 約38% | ||||||||
想定最大規模降雨に対応した内水ハザードマップ | 約5% | ||||||||
土砂災害ハザードマップ | 約90% |
2015年に水防法が改定されたことにより想定最大規模の豪雨・高潮に対応したハザードマップの作成が自治体に義務付けられました。上の表のように2021年12月現在で新基準に基づく洪水ハザードマップを好評している自治体は約59%、同内水ハザードマップについては約5%ですが今後更新及び増加されていくことになります。

今後も改定の度に保険料が上昇する事が考えられますので、ご自身の居住地がどのくらいの災害リスクエリアになるのか?という事も把握しなくてはならない時代に突入しているのではないでしょうか。