住宅ローン特約とは
ローン特約とは、買主が不動産購入をする際に、ローンを利用すること前提で購入します、という事を契約内容に盛込みます。「買主が利用予定の融資を受けられない事が確定した場合は当該契約を白紙に戻せる」といった不動産購入者を保護する観点から盛り込まれる特約です。しかしローン特約(融資特約)を盛り込んでいるからといって安心できるとは限りません。場合によっては「ローン特約内容の文言」を巡って、売主と買主でのトラブルがあるケースがあるようです。

幸い私の約26年の業歴では、まだ経験してません。
ローン特約により契約が解除された場合、「売主はすでに受領済みの金員は全額無利息にて買主に返還する」などの条文が記載されている事が多いのですが、なぜローン特約に該当するようなことが起こるのでしょうか?
融資の流れは簡単にはこんな感じとなります。
事前審査 → 売買契約 → 本申込み → 融資契約 → 融資実行
大半の方は、事前審査で承認されてから融資可能ということを前提に契約を締結しますが、なかには事前審査は承認されているのに、本審査では融資不可という回答がくることも少なく有りません。
しかし「融資特約」があるからと言って安心しきってはいけません、売主からすれば手間や時間、コストをかけてせっかく締結した契約をなんの確認もなしに、融資駄目でした!解約です、はいわかりました!・・・とはならず、買主に落ち度は本当に無かったのか?必ず融資否決理由を確認するからです。もちろん買主が融資利用の際に落ち度があって融資利用金融機関から融資を断られた際は「白紙解約」にはならないからです。
ローン特約条件の種類を確認
実は融資特約で契約を解除する場合、主に二種類の解除方法が有る。それは解除条件型と解除条件留保型だ
解除条件型は買主の意思表示に関わらず自動的に解除されるため、「期限内に意思表示を忘れてしまった場合でも支払い済みのお金が返ってこない」というようなリスクを回避できます。
一方で、ローン不成立が確定した場合には自動解除となってしまうため、万一買主が他の金融期間に融資相談したい場合でも契約は無効となるので売主と新たな売買契約を締結する必要があります。
当初予定していた金融機関のローン不成立時でも自動解除とはならずに買主は「融資特約による契約を解除する権利」が与えられるものです。
したがって決められた期間内に解除を申し出ない限りは売買契約の効力は失われず、予定していた金融機関の融資が不可だった場合でも、他の金融機関の融資を探したり相談する事が出来ます。また期間を売主に延長してもらう相談もできたりします。
一方で期限を過ぎてしまってからの契約解除では手付金や支払い済みのお金が返還されなくなったり違約金も発生してしまいますので、必ず当初予定の金融機関のローンが不承認となった場合は、売主に伝えるようにしましょう。



個人的な経験では、解除条件型の融資特約での経験は1回しか有りません。なぜなら、解除型を利用するのは融資が難しい方に向いているのですが、そもそも融資が難しい方は不動産購入に適していないので勧めた事が無いからです。
売買契約書・重要事項説明書の融資特約条件を確認しましょう
- 利用予定の金融機関
- 融資利用額(申込金額)
- 予定金利(実際は融資実行時の金利が適用される事が多い為、「未定」と記載されることもある。
- 借入期間
- ローン特約の解除期限
会社によっては下記の記載枠無いこともあるので事前に確認するとよいだろう。
- 融資が承認されなかった場合の対処方法
- 融資特約の権利行使による意思表示の方法
不動産を購入するときに大半の方は融資を利用する方が多いと思うが、こちらから言わなくても融資特約が付加されていることがほとんどです。しかしトラブルを回避するためにも不動産屋任せにせず確認は必ず行って下さい。



ここからは今回私が初めて経験したことになります。
融資特約・権利発動
今回は某大手パワービルダーさんの新築購入をご用命いただきましたが、残念ながら融資不可となり「融資特約」を行使しての契約解除となってしまいました。今回のお客様は転職後1年で融資利用はフラット35でした。
フラットを利用する場合で勤続年数が短い場合は、提出書類の中に現就労先から給与証明及び就労証明書を発行してもらい提出しなくてはいけません。
お客さんからの連絡で「会社が証明書を発行してくれないと言われました」とのことでした
え?そんな事あるの?というのが率直な感想ですので、なぜですか?と聞いたところ来月で離職してもらう予定の社員の在職証明書は会社として発行できないとのことでした。



第一印象は、え?そんな会社あるんかい?というのが率直な感想です
なぜですか?と聞いたところ来月で離職してもらう予定の社員の在職証明書は会社として発行できないとのことでした。
結局、その後必要書類や勤務先への確認などに約3週間を要して結局は融資特約を行使して白紙解約となり、買主にも手付金等の支払い済みのお金も返還されましたので良かったのですが売主から提示された内容は「会社都合の解雇」により金融機関からの融資が不可となった事の証明でした。
要は買主に落ち度がなくて融資が不承認なら白紙解約が有効、買主の落ち度により融資不可の場合は違約となるからです。
世の中、交通事故や災害と同じで、人生はいつ何が起こるかわかりません。
特に不動産は人生を左右するほどの金額となりますので皆さん気をつけてお取引して下さい。



今回、私は27年目にして初めて体験した事案によりタダ働きとなったわけですが、なかなか遭遇できないであろう大変貴重な体験をさせていただいたので、これからも気を引き締めて精進して参ります。