LGBTQの人々が、これまで差別や偏見に直面する事案の一つに住宅ローンの借入問題ということがありました。
しかし世の中が、LGBTQの人々は固定的なカテゴリーではなく、流動的で多様なアイデンティティの集合であると考えられるようになったのはまだ最近の話である。民間の金融機関においては数年前より「ペアローン」の利用可能な場合が多くなってきているが、ようやく2023年1月4日(水)以後の【フラット35】借入申込受付分から、同性パートナーの方とも連帯債務でお申込みいただけるようになりました。また、同性パートナーの方を収入合算者および融資物件共有者として追加していただくこともできるようになりました。
主な必要書類
お申込み先の金融機関に、次の1または2いずれかの書類を提示していただきます。
なお、1または2以外の必要書類は通常の審査申込書類と同じである
地方公共団体が発行するパートナーシップ証明書、宣誓書受領書またはこれに準ずる書類
- お申込ご本人もしくは連帯債務者の現住所または、取得対象住宅の所在地の地方公共団体が発行していることを確認します。
- 発行した地方公共団体が、紛失または無効となった証明証等の番号をホームページ上に掲載している場合は、これに該当しないことを確認します。
同性パートナーに関する合意契約に係る公正証書の正本または謄本
- お申込ご本人と連帯債務者が共同生活を営むに当たり、当事者間において締結した合意契約に、
次の①および②の事項が掲載されていることを確認します。
① 二人が愛情と信頼に基づく真摯な関係であること。
② 二人が同居し、共同生活において互いに責任を持って協力し、およびその共同生活に必要な費用を分担する義務を負うこと。
※①および②と同様の意味であることがわかる内容が記載されていればお申込みいただけます。
公正証書の作成方法
「合意契約に係る公正証書」は、お住まいの地域の区役所、地方自治体などが発行しているパートナーシップ証明書に記載されている文言に沿って作成すれば、特に問題ありません。「任意後見契約に係る公正証書および登記事項証明書」と併せて公証役場で作成することになり、費用は公証人手数料として数万円程度です。
士業の専門家に依頼した場合は、+数万円〜10万円程度の費用が別途必要となります。
- 本人確認書類
運転免許証のコピー(表・裏)、パスポートのコピー、住基カードコピーなど - 健康保険証の写し(表・裏両面)
- 収入に関する書類
源泉徴収票(2年分)、確定申告書(写し)2期分など
※転職して間もない方は給与明細などが必要となりますので担当者に相談が必要となる。 - 物件の情報がわかるもの
販売パンフレット・チラシなど - 所定の事前審査申込用紙
ご利用条件・融資手続
●申込要件、借入金利等のご利用条件や融資手続は、【フラット35】と同様です。
●団体信用生命保険
夫婦連生団信(デュエット)をご利用いただけます。
(2023年4月現在では借入金利に+0.18%の上乗せで加入可能)

※画像出典:住宅金融支援機構フラット35
夫婦連生団信とは、夫婦の双方が加入する住宅ローンの保険のことです。夫婦連生団信は、夫婦のどちらか一方が死亡した場合に、残された配偶者に住宅ローンの残債を一括で返済することで、住宅を失うリスクを回避することができます。
加入条件や保障内容に注意が必要です。例えば、夫婦のどちらかが既に他の保険に加入している場合や、夫婦の年齢差が大きい場合は、夫婦連生団信よりも個別に団信に加入した方がお得になる可能性があります。また、夫婦連生団信は、夫婦のどちらか一方が死亡した時点で保険契約が終了するため、残された配偶者は再び保険に加入する必要があります。その際、年齢や健康状態によっては、保険料が高くなったり、加入できなくなったりするリスクもあります。したがって、夫婦連生団信に加入する際は、メリットとデメリットをしっかりと比較検討することが重要です。
連帯債務と連帯保証の違い

今回はフラット35利用開始のお話でした。
LGBTQの方は、住宅ローンを利用する際に、一般的なカップルとは異なる問題に直面することがあります。現在ではLGBTQの方が住宅ローンを利用することは決して不可能ではありません。
しかし、住宅ローンを利用する際にスムーズに進めるためのポイントは
「事前に必要な書類を準備しておく」この点に尽きると個人的には考えています。
現実的には、法的なパートナーシップや性別の変更を証明する書類が必要になるからです。例えば、同性パートナーシップ証明書や公正証書・性同一性障害者証明書などです。これらの書類は、市区町村や医療機関で発行されますが準備にある程度の時間を要することが理由にもなっているからです。
そしてこの記事が、少しでもお役に立てれば幸いです。



